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文部科学大臣政務官 衆議院議員(東京24区) 萩生田 光一 氏

<略歴>
萩生田光一(はぎうだ・こういち)
昭和38年東京都八王子市生まれ。
明治大学在学中より黒須隆一(現八王子市長)の秘書を務める。
平成3年八王子市議会議員に初当選。3期目の途中都議会議員選挙に出馬し当選。
平成15年衆議院議員選挙に出馬し当選、現在2期目。
<編集部注>
このたびの「今月の識者」は八王子市選出(東京24区)の現役代議士にして文部科学大臣政務官である萩生田光一先生に担当いただきました。
萩生田先生のHPはhttp://www.ko-1.jp/index.html、ブログはhttp://blog.livedoor.jp/hagiuda1/です。皆さんも是非お立ち寄りいただき、萩生田先生の政策や人となりに触れてみてください。
 オリンピックの感動を日本に!
                                         
2008.09.11
 今年になって私は文部科学大臣政務官に就任した事もあり、この夏、二度にわたって北京オリンピックを視察する機会をいただいた。よって今回は二度の訪問で私が何をしてきたのかについてご報告するのと同時に文科省がこれからやろうとしていることの一部を皆さんにご報告したいと思う。

 二度の北京入りをうらやましく思う方もいらっしゃるだろうが、最初の訪問は2016年オリンピック日本招致議員連盟の事務局長としての政務であった。石原都知事や超党派の国会、都議会の皆さんと一緒に羽田からのチャーター機で北京に向かったのであるが、北京に到着するも、現地では大会前からのテロ予告もあり、当日は会場の2km手前から車両が止められる事となった為、我々は地下鉄を乗り継いで会場入りした。途中、厳しいセキュリティチェックを二度も受けた。

 五輪開会式、あの惜しみないマンパワーを発揮しての数々のパフォーマンスは確かに我が国では真似のできないすばらしいものだと感激したし、よってそれを実現させた中国関係者を讃えるにやぶさかではないが、その感激も最初の一時間まで。入場行進を終えた各国の選手団もさぞお疲れだったと思うが、私たちも40℃近いサウナのような鳥の巣の中で4時間に及ぶ開会式に参加したのである。これは真に我慢比べといった状態だった。ちなみに、席に配られた袋の中には旗やネオン、太鼓といったグッズが入れられていたが、開式の数時間前からブロックごとに配置された若い女性スタッフが声をからして「ここでこれを振って下さい」「ネオンをつけて下さい」(たぶん)と皆に呼びかけ、電光掲示板にもそのグッズが絵で出るものだから協力しないわけにはいかない雰囲気になり、ついつい「参加した以上は」と指示に従ってみたが、後でニュースを観てみると見事にマスゲームに参加していた事になっていた。ここにも中国のしたたかさを感じる私は少しひねくれているのだろうか?

 さて、柔道の谷選手の銅メダルに始まり、上野投手の連投による女子ソフトボールの金メダルまで、日本選手のがんばりには心からの祝福を申し上げたいし、メダルこそ届かなくても、日の丸を胸に戦う選手諸君の真剣なプレーに勇気と感動、そして明日への夢を与えられた国民は数知れないと確信する。今大会の成績としては金9個を含むメダル25個、8位までの入賞者は77人。前回のアテネ大会の37個には及ばないが、入賞者は同数で変わらず、全体的には健闘といえよう。他方でオーストラリアは金14個を含む46個、韓国は金13個を含む31個、次期開催国のイギリスに至っては前回金メダル9個に対し一気に19個、1908年ロンドン大会の金メダル56個に次ぐ健闘で、全体でも47個という躍進ぶりだ。既に報道もされているが、いずれの国も選手強化に力を入れ、オーストラリアでは年間約161億円、韓国では年間65億円、イギリスではアテネまで年間約37億円だった予算が1997年からは国営宝くじの収益が強化費に回る仕組みになり、年間約161億円の予算をかけている。

 日本は全ての競技をひっくるめても27億円、一流アスリートのスタッフであっても選手団に入れない個人コーチやトレーナーなどの費用は個人負担で、普段の国際大会でも同様の苦労をしている。やはり選手個人と団体の努力で相当数のメダルを期待するには限界があり、だからこそ国が動くべき話でもある。

 そこで2016年国内招致を目指す文部科学省としては、一流アスリートの指導者強化やナショナルトレーニングセンターの充実に向け、新たに46億の予算要求をした。他方、スポーツの裾野を広げる一環として、全国各地の総合型地域スポーツクラブの育成支援や、中学校の課外クラブへの外部指導者の派遣、正課となる武道授業の為の施設整備補助といった試みも始めている。

 もう一点、文科省として注力したいのはアスリート引退後のサポートである。アスリートのセカンドキャリアの充実を国としてサポートしたい。問題は一流の選手も指導者でも我が国ではその処遇がバラバラで、会社に所属していたり、個人で事務所を作ったり、その都度チームに加わったりと不安定な方が多いことだ。柔道で二連覇を果たした内柴選手でさえ前回大会の優勝後引退を決意したが次の仕事が中々見つけられず、子供も生まれたこともあり今は柔道を続ける以外に家族を守る方法がないという理由から現役続行を決断したとの生活感にじむ事実を聞いて私は驚かされた。昨年の大阪で開催された世界陸上で大会前に選手がやたらとテレビのバラエティ等に出演し、その後メダルが取れなかった事で酷評に晒されたが、彼らは世界大会の知名度を上げたり、スタッフ費用を捻出する為に一番調整が必要な時期にこのような雑収入を得なくてはならない事情を知る者は少ない。

 私はアスリート達が余計な心配をせず大会に臨めるようにし、引退後も様々な専門性を活かせる職業に就ける機会を増やす事で、日本のスポーツの幅を広げていきたいと考えている。例えば、JOCの指導スタッフの数を増やす事も解決案の一つであろうし、教員資格取得の為の再教育の機会を与え各地の中学や高校の教師になる道も作りたい。また、故郷の県や市に帰り職員としてスポーツ振興に努力してもらう道があっても良いのではないかと考えている。なお、このオリンピックでは海外で活躍する日本人コーチの姿が目立った。金でスカウトされたとの失礼な論評もあったが、彼、彼女らはそれぞれの競技の国境を越えた世界的レベルアップや、競技人口の拡大等しっかりとしたポリシーを持ってがんばっている。日本人コーチによって育てられた選手が活躍すれば、結果として日本の評価にも繋がるので私は歓迎したい。

 次に二度目の訪問の話をしてみたい。幸いにして二度目の訪問は政府代表の公務として閉会式参加を含むミッションだったが、今回はIOCからパスが出ていずれの会場にも出入りできた為、駆け足ではあるが決勝に沸く各会場視察も予定された。

 メダルのかかったシンクロ団体の結果が出た後は日本選手のいない会場を廻るので、施設の概要や競技中の雰囲気だけでも味わえればと一ヶ所20分程度の日程を組んだ。

 ところが一流アスリートのプレーに接するにつけ、ルールの解らない競技であったり、失礼ながらどこの国の選手かも知らなかったりでもその場に釘付けにさせられた。ハンドボールやテコンドー、ボクシングやバレーボール、随行の職員からは時計をかざされ「政務官、そろそろ時間です」と何度も促されやっと移動をする始末。「観るスポーツ」の醍醐味と必要性を改めて感じた。極めつけはマラソン。37km地点に在北京の日本人会の皆さんが集まるとの事で激励を兼ね訪問した。

 日の丸の小旗を手に初めて沿道でマラソンを観たが、目の前の通り過ぎる全ての選手に私はもちろん、全ての人が心から「がんばれ」と叫び続け、日本選手の通るのもわからず最後の一人まで応援した。知らない国の知らない人が走っているだけなのに、その表情や息遣い、滴る汗がもたらす感動は筆舌しがたいパワーがある。一緒に沿道に立った宮本大使からも「是非日本の皆さんにもこの感動を味わってもらいたいですね。招致がんばりましょうよ」と激励をいただいた。

 その招致に関しても一言。この大会期間中も各国のIOC委員に対して多く皆さんがロビー活動をしていただき、日本への期待は間違いなく高まっている。残念なのは一部の日本人の間に「一度やったからいい」とか、「金の無駄だ」との意見があることだが、前者に関しては1964年のオリンピックを記憶しているのは50歳以上の皆さんだろうし、戦後の復興を示した当時とは開催の意義が全く違う事を申し上げておきたい。後者に関してもロス五輪以降始まったオフィシャルスポンサー制度によって赤字を出す方が難しいのである。もちろん、仮に財政的な心配があれば私達が真っ先に反対している。

 ところで、二階建てバスにベッカムやジミーペイジを乗せたロンドン組が華やかにフィナーレを飾った閉会式の翌日、空港へ向かう北京市内は前日までと打って変わった雑踏だった。厳しい規制で整然を装った街はまるで緊張の糸が切れたような姿へと変貌した。前日までは非の打ち所ない大会だと思った私も、実はその全てが官製のお芝居だったような感がしてならなかった。

 我が国での開催はそのようなものであってはならない。我が国は自由かつ安全で人権を大切にし、しっかりとした法の支配が確立している国だ。また世界に貢献できる科学技術力があり、環境先進国としても世界中から認知されている。歴史や文化を大切にしながら成長した日本の姿、真のアジアのリーダーとしての姿を世界中の人々に観ていただく絶好の機会である東京オリンピックの開催に向け皆さんのご支援をお願い申し上げ、人形町サロンの仲間入りとさせていただきたい。


 
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