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第28回: 保本格保守の再生が課題だ・改造人事で残されたもの
                       
2008.08.07 過去掲載分

 福田首相がやっと踏み切った改造人事の評判は、悪くない。

 世論調査の結果を見ると、読売はなんと支持率が14・7ポイントも上昇、41・3%に達した。

 もっとも朝日の調査では、支持率は24%で横ばいだ。最近のこの種の調査に回答する国民は、相手を見て、その新聞社のスタンスを敏感に察知し、態度を変えるのだろうか。

 そうとでも考えないと、これだけ極端な差が出た背景が分からない。世論調査の専門学者たちも困っているのではないか。

 とはいえ、ほかの調査を見ても、支持率が下がったところはない。不支持率はおしなべて下がった(読売、日経が最高でマイナス14ポイント程度)ものの、依然として50%前後である。

 不支持率が支持率を上回っている状況に変化はない。改造人事は福田首相にとって反転攻勢への望みをつなぐことにはなったものの、なおあぶなっかしい状況にある、といっていい。

 人事の最大の焦点は、なんといっても麻生太郎氏の幹事長起用だ。総裁選を戦った「政敵」である。そこを、国民的人気を見込んで「党の結党以来の危機を救うため」と、拝み倒した福田首相もなかなかの役者である。

 これをしれっと受け入れた麻生氏もまた、その「大物」ぶりを示したことになる。こういう「男気」のようなものに永田町は弱いのだ。

 30年前の「大福密約」では、ポスト三木をめぐり、福田赳夫氏と大平正芳氏が拮抗、「福田総裁、大平幹事長、総裁任期は2年」の覚書を交わした。

 大平氏側は2年後に禅譲と思っていたのが、福田氏は総裁選に再出馬する。これに怒った大平氏が田中派軍団の力を借りて予備選挙で福田氏を破ったのは、自民党史に残る一大決戦であった。

 親子2代の「密約」騒ぎということになるのだが、今回はどうだったのか。

 改造当日、福田首相は麻生氏と1時間近く話し合っている。その密室協議で何が決まったのか、定かではないが、党内では「麻生後継のシナリオができた」という認識が大勢だ。

 それはともあれ、「麻生効果」が支持率アップの最大の要因であることは言を待たない。

 さあ、これからである。福田政権が窮地に陥ったのは、保守の気概を欠き、保守政権らしさを象徴する課題をすべて棚上げ・先送りしてしまったところにあったのではなかったか。

 集団的自衛権見直し、日本版NSC(安全保障会議)創設、消費税論議などなど、ややこしい課題は回避するというのが福田首相の基本スタンスだ。

 小泉元首相があれだけの支持率を誇ったのは、その特異なキャラクターもさることながら、「どんな反対があっても靖国参拝をやる」と言明したことに保守層が共鳴したためではなかったか。

 福田首相は相変わらず「相手のいやがることはしない」という態度である。

 竹島に韓国の首相が乗り込んだというのに、なんらの行動も起こしていない。国家主権、領土保全という国家リーダーとして踏まえるべき究極の責務を放棄してしまったかに見える。

 その点、麻生幹事長は保守の理念が分かる政治家だ。保守政治がいま打ち出すべきは何か。そこを踏まえて、この国はどうあるべきか、それこそ骨太の国家観を語ってほしい。それが「麻生後継」を確実にするものと確信したい。


 
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